秋の嵐

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「カツオ君…あのね?」 2人で他愛もない話をした後、浮絵はたまらず思わず口についてしまった。 「はい…何ですか?」 「あ、いいや…ゴメン。」 「ちょっとォ何なんです?いいですから言って下さい。」 浮絵のたどたどしい言葉に反応したカツオは 顔を見ないで飲み干したコーヒーの器をシンクで洗い流した。 「実はこないだワカメちゃんからちょっと聞いちゃったんだけど…」 本来ならどうこう詮索する事ではない事くらい解ってはいる、しかしああいう形でワカメから聞かされたら浮絵の中でどうしても気になって仕様がなかった。 「カツオ君がトルコに行った時に…その、一緒について行った…あ…」 「アァ~花沢さん?花沢花子さんの事ですか?」 カツオは浮絵の言葉を遮るように半分笑いながらそれに反応した。 「なるほどワカメから聞いてたんですね?あいつホントお喋りだから…」 カツオは腕組みをすると少し唇を尖らせて怒る素振りを見せた。 「ヘェ何、浮絵さん花沢さんの事が気になるんですか?てゆーか浮絵さん、花沢さんの事知ってました?」 「あ、いやその…アハハハ…べ、別にたいし…」 墓穴を掘るとはこの事だ、感情が先立つまま言葉にするとロクな事がない… 「あ、そうか…僕について来たからその後彼女がどうしたかって事聞きたい訳だ!」 浮絵にとり当たらずとも遠からずの答えだった…浮絵の本心とは裏腹にカツオは今全く見当違いな答えを返そうとしているのが分かり浮絵は少し後悔の念を覚えた。 「彼女ならまだトルコに居ますよ。ずっと向こうで住むみたいです。」 「え?…そう、そうなんだ。」 浮絵はそれでも最大限に無関心を装った。
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