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「ホントにゴメンね…今日はそれだけを言いに来たかったの。」
「ンモッ!だから何度もいいですよって!また他の宣伝方法を考えますから気にしないで下さい。」
帰り際浮絵は何回もカツオに頭を下げるとイメージガールの一件を詫びた。
「ホテルがオープンしたら是非遊びに来て下さいね!」
「うん行く行く絶対に…カツオ君も身体壊さないで頑張って!」
浮絵は狭いエレベーターに乗ると振り返りカツオに笑いかけた。
「じゃ…また」
「うん…」
エレベーターの扉が閉まりかけた時思い出したかのようにカツオが浮絵の顔を見た。
「あ…そだ、こないだの彼氏さんも一緒に!」
「!…か、彼氏ぃ?」
カツオの思いがけない言葉に浮絵は一瞬固まった。
「ほら、本屋で一緒だった…」
浮絵の脳裏に一番思い出したくない男の顔が浮かんだ。
「ァ…ち、ちが、あれは…!」
浮絵が弁解を言うが早いか悲しくもエレベーターの扉はピタリと閉じてしまった。
(だからちがう、違うって!誤解よッ!)
浮絵は慌ててエレベーターの【開】のボタンを連打したが無情にもエレベーターは淡々と下り始めた…
(ッタァ~マジで…マジでヤバいよッ…カツオ君やっぱりあの唐変木馬鹿を彼氏だと勘違いしてた~、ヤダどうしよッ!)
浮絵は恥ずかしさのあまり自分の顔がみるみる真っ赤に染まっていく感覚を覚えていた。
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