大和路メモリー

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「ねぇ昼間のあれ…何だったの?」 「ハン?あれって?」 浮絵は蛍から目を背ける事なく鷹野孝に言葉をかけた… 「遺跡での対応よ、わざわざ私から言う事でもないんだけど…さっきは知識も人当たりも結構いい感じだったし…もう少し真面目にきちんと仕事すれば周りからも認められるのに…」 「別に周りから認めてもらおうなんて気はないよ…」 鷹野孝は少し眉間に皺を寄せ空を見上げた。 「……気がちいさいんだ…」 「はぁ?」 浮絵の言葉に鷹野孝は少し反応した。 「意気込んでる割にはあなたすごく気の小さな臆病者!すぐ周りの目を気にしてどう立ち回れば得か、どう繕えば満足するか…そんな事ばっか考えてる!そんなんじゃいつまで経っても人から信用されないわよ!?」 ズバリ言ってやった…いい機会だ、浮絵は息を吐き膝に止まった蛍を指で優しくこついた。 「………だよなぁ~…」 「!ッ……」 きつい言葉に鷹野孝が珍しく反論してこないのが浮絵には不気味に感じた。 「今のまんまじゃ…駄目なんだよなぁ~」 そのやる瀬ないため息は鷹野孝が浮絵の前で見せた初めての【弱気の虫】だった…浮絵はその様子に少し戸惑いながら言葉を繋げた。 「本当はあなた…」 「え、何?」 「あ…いい、いいや、これ言うとまた図に乗るから…」 ナニナニ?と鷹野孝が激しく詰め寄ったが浮絵はその場を立ち上がるとお尻の埃を払った。 「とにかく!明日も今日みたいにガンガン行っていいから…あなたの本気を見せてちょうだい。この出張にあなたの進退が掛かってるんだからね!」 マズイ…余計な事を言ってしまった!浮絵は一度咳ばらいをするとお休みなさいと無愛想に踵を返した…
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