大和路メモリー

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「つまり主任は俺の事を見直したって訳だ!」 「ち、ちょっと調子に乗らないでよ、私は単にあなたの仕事振りを適切に評価しただけであって断じてあなた自身を評価した訳じゃないからッ!」 回りくどいナァと鷹野孝は苦笑いを浮かべると手渡された幕ノ内弁当を頬張り始めた。 「ま!いずれそうなるって♪」 「はぁ?」 「だからッ、いずれ主任は俺の事忘れらんなくなるって言ったの!」 鷹野孝は口いっぱいに白飯を頬張りながらガハハと今度は下品に笑ってみせた。 「わッ、私がぁ?こんなだらし無いあなたをォ?…ハァ~馬鹿も休み休み言いなさいッ、仕事振りを評価したからって私があなたを好きになるなんて事地球がひっくり返ったって金輪際後にも先にも皆無ッ、有り得ないわッ!」 浮絵は箸を回しながら必死に鷹野孝の言葉を否定しようとしたが言葉を発すれば発する程鷹野孝のペースにはめられていきそうな気になった… 「もういいッ、あなたと話するとフルマラソン走った後みたくクタクタに疲れるから!」 浮絵は食べ残した弁当を袋に詰めるとさぁもうひと頑張りよと背筋を伸ばした。 「ふふふ…ホントに解りやすいよな主任って、ま…ンナ所が魅力的ではあるんだけど♪」 鷹野孝は少しはにかむように困惑している浮絵に聞こえるような声でそう言い放った…
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