大和路メモリー

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昼過ぎに難波駅に着いた浮絵は社の林館長に調査終了の報告を済ませパタンと携帯電話を閉じた。 (さぁて…東京に帰るとしますか!) 新大阪駅で新幹線に乗る為に乗り継ぐ地下鉄の切符売り場の前で浮絵はふと考えた… (けどまぁせっかく大阪に来たんだし…夕方までプラプラしよっかな…慌てて帰る必要もなし。) これが独り身の醍醐味だ、こんな時、時間を気にせずのんびりと自分の時間を過ごせる、浮絵は切符を買うのをやめるとそのままデパートの入口を目指した。 (さすが大阪…派手な服装のおばさんが多いわね…) 大阪へは何度か仕事で来ていた浮絵だったがいつ来ても関西のおばさんの服装のセンスには驚かされる…赤、青、紫…言葉では表現できないようなオレンジ色の混じったシャツを着て我が物顔で道を闊歩する姿… (あんなにはなりたくないなぁ…) すれ違う安物の化粧の粉の臭いに紛れながらそれは浮絵の正直な気持ちだった…デパートで軽くショッピングを楽しんだあと雑誌で評判のスイーツの店でチョコレートパフェを食べ久しぶりにゆっくりとした時間を過ごした。 (さて…嫌な気分も吹っ飛ばして充電も出来た、ぼちぼち帰ろっかな!) 大阪の街を歩き幾分か気持ちに余裕が出来た浮絵は今度こそ新幹線に乗るべく新大阪駅に向かった…
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