大和路メモリー

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浮絵の予想とは裏腹に夕方の新大阪駅のホームには平日にもかかわらず意外と人が溢れていた。浮絵は指定された番号の列に並ぶと肩から下げていたハンドバックをボストンの上に置いた。 (ハァ…取り立てて何にもしてないのにこの悪夢から目覚めたかのような疲労感、また明日から続くと思うと…ハァ) ため息一つつくと幸せが一つ逃げていく、小さな頃母にそうやってたしなめられたっけ…けど今の【色んな自分】にため息をつかざるを得ない現状に自分は間違いなく直面しているのだ…どうせ今までも自分のそばから散々逃げていった幸せ、今更幾つ逃げていこうがもうどうでもいいじゃないか… (ハァ何て投げ槍な私…こんな気持ちじゃ真面目に生きてる人達に失礼じゃない!) 浮絵は今日最後のため息と心に決め、ゆっくり息を吐いた。 プルルルル…♪ ホームに甲高い音が流れ博多発東京行きの新幹線が入ってくる案内が流れた。 (……ん?) 浮絵がおもむろにハンドバックを担ごうとした瞬間、同じホームの遥か先に見慣れた男性が目に止まった! (あれ…唐変木じゃない!)
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