短篇集

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八月。 殆どの学生が夏休みという長期休暇を楽しんでいる中、何故だか僕は学校へと足を運んでいた。 いくら夏服と言えど暑いものは暑くて。 折角セットした髪型も、朝シャンして綺麗サッパリ流した汗も、みんな、みんな台なしで。コンビニで買ったアイスなんて慰めにもならないこの暑さ。 …――――ねえ、どうしようか。サボっちゃう? 不意にそんな声がきこえた。 風が通り抜けるような、小鳥の囀りのような…耳を傾けないと聞こえぬ声。だけど脳にはしっかりと残っていて。 当然周りには僕以外居なくて、360度見渡しても声の主なんて見付けられなかった。 でも未だ声が聞こえる。
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