4057人が本棚に入れています
本棚に追加
唯一なごめる、昼休みの女子トイレ。
派遣のお姉さん方の話は、ホッとする。
唯一、会社で女に戻れる時間。
「鮎川課長の香水って特殊な香りじゃない?」
お姉さんの一人が言う。
鮎川課長。
沙織の隣の課の課長。
隣の課はハードウェアの営業支援の技術部隊。
鮎川は半年前に営業部から鳴り物入りで技術職の課長になった。
歳は三十三歳。
三十三歳で課長。
若いわりには出世が早かった。
「あの香水は、Diorの海外限定版ですよ。たぶん」
沙織は油取り紙で鼻を撫でながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!