4006人が本棚に入れています
本棚に追加
カランカランカラン…
入口の鐘がお客さんの来店を知らせた。
「いらっしゃいませー」
入ってきたのは男性一人のお客さま。
「ただいまお席を…」
案内しようと、相手の顔を見て俺は息を飲んだ。
…澄…!!!
それは同じクラスになった例のイケメン厭味野郎、澄だった。
「…ウェイターさん?」
澄はまるで俺だと気づいてないかのように顔を覗き込む。
こいつ…、まさか分かってないのか?
…だったら好都合だ。
本来、うちの学校はバイト禁止だ。
それがこんなとこでバイトしてるのを見つけたら、きっとまた厭味を言ってくるに違いない。
「お席は一階と二階がございます。どちらになさいますか?」
「じゃあ二階で」
「かしこまりました」
だったら俺も知らない振りして、とことん接客してやろうじゃねーの。
こいつのせいで大事なバイト先、失いたくないからな。
_
最初のコメントを投稿しよう!