偶然の再会

8/11
前へ
/428ページ
次へ
カランカランカラン… 入口の鐘がお客さんの来店を知らせた。 「いらっしゃいませー」 入ってきたのは男性一人のお客さま。 「ただいまお席を…」 案内しようと、相手の顔を見て俺は息を飲んだ。 …澄…!!! それは同じクラスになった例のイケメン厭味野郎、澄だった。 「…ウェイターさん?」 澄はまるで俺だと気づいてないかのように顔を覗き込む。 こいつ…、まさか分かってないのか? …だったら好都合だ。 本来、うちの学校はバイト禁止だ。 それがこんなとこでバイトしてるのを見つけたら、きっとまた厭味を言ってくるに違いない。 「お席は一階と二階がございます。どちらになさいますか?」 「じゃあ二階で」 「かしこまりました」 だったら俺も知らない振りして、とことん接客してやろうじゃねーの。 こいつのせいで大事なバイト先、失いたくないからな。 _
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4006人が本棚に入れています
本棚に追加