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澄はオープンテラスではなく、西側の窓際を選んだ。
「ご注文は何になさいますか?」
声でバレるんじゃないかと思って、いつもより少し品のある声で尋ねた。
「じゃあ…アイスコーヒーで。」
「はい。ミルクとお砂糖はいかが致しますか?」
「…ブラックで」
「かしこまりました」
こんな奴に頭を下げるのも蹟だったけど、これも仕事のうち。
そう思って丁寧に一礼した。
…案外、気付かれないもんなんだな。
俺の接客が上手いから?
いや…、そもそも奴は俺の顔なんて覚えてないのかもしれない。
あいつは有名人、俺はたかだかクラスが一緒になっただけの一般人だもんな。
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