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「……いくら先輩だろうと無神経過ぎません？その発言」
怒りから上ずった声で一人がそう言えば、同意するように各々が矢澤から離れて少女に一歩、また一歩と距離を詰める。
本気でやばい。そう思って少女と少年の間に割って入れば、ふーんと感心した声が後ろから聞こえた。───声はもちろん後ろに庇われた少女の物だ。
意外と男らしいね、と笑って言う様はこの状況を理解していないのか、頭のネジが緩いのか。
とりあえず火に油を注ぐ様な事しやがってと思いつつ、女性には優しく。を地で行く矢澤は笑顔で振り返り逃げて、と言おうとしたら───
「───ねえ、助けてあげようか？」
ただし条件はあるけど。
弓なりになった目は今の状況が楽しくてたまらないと言っている。
直感で分かる。
多分自分が守らなくてもこの人なら、自分の身に火の粉が掛からない程度には何とかする事が可能だろうと。
そう感じる底知れなさがあった。
そして何故か少女の条件も聞かずに首肯していた自分。
今思うと、それが全ての始まり。
そして彼女、能條梓（のうじょうあずさ）との出会いであった。
彼女との日常は喜びや幸福、それ以上の───
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