ヒーロー

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苛々としながら少女の上履きに視線を走らせると、ラインが赤い。 きっと二年生か。 周りの馬鹿共も先輩だと分かったのか、野球部なだけあって上級生にはそれなりの態度になる。 「今ちょっと話し合いしてるんで、放っといてもらってもいいですか?」 話し合いは話し合いでも馬鹿らしいの一言に尽きるけどな、とは胸の内になんとか収めた。 少女の前に出て口調こそ丁寧だが、有無を言わさない何かを発して一人がそう言えば、少女は小首を傾げる。 ───冗談じゃない。ここまで来たんだから助けてよ、と相手が男子生徒なら言った。 だが、相手は上背があるにしてもただの少女。 ここは言う通りにして速やかに教員を呼んでくれ、と必死にアイコンタクトを送る。 「やだ」 ───無駄だったけど。 少女の言葉に一斉に眉を顰める。
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