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ランドと名乗った男は小さく息を吐き出し、話始めた。
『…仮に、お兄さんだけが入ったとしましょう。妹さんと弟さんはどうするんですか? 誰が生活費を払うのですか?』
『そ、それは…』
『お姉さん、貴女にも同じことを言おう。お二人だけが入った時、弟さんはどうするのです。誰が面倒をみるのですか?』
『………』
ランドの言葉に、二人は沈黙した。
どこかへ入るかというのだけがわかった幼い俺は、ランドに尋ねた。
『どこへ行くの?』
彼は厳しい表情を解き、優しく微笑み、俺の質問に答えた。
『帝国軍の幼年学校だよ。お兄さんとお姉さんは、帝国軍の君が行くのとは、違う学校にだけどね』
『兵隊さんになれるのッ!?』
当時の俺には、帝国軍の兵士はヒーロー同様だった。
そのヒーローになれるのは、俺には嬉しかった。
『…行こうよ。僕ら、正義の味方になれるんだ…』
無邪気な、何も知らない俺の言葉に、二人は互いに顔を見合わせ、何かを考えているようだった。
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