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それは突然やってきた。
共和国の帝国と微妙に違う言語を学ぶ科目の時間、学校長が俺を呼びに来たのだ。
最初、何が起きたのかわからなかった。
クラスの連中はヒソヒソと話始め、耳のいい俺にはその内容がスグにわかった。
ありもしないデタラメで、俺を笑い者にする内容だ。
ぶっ飛ばしたい。
怒りの感情が溢れてきたが、学校長の手前、兄貴と姉貴に恥をかかせたくなかった俺は、大人しく学校長に付いていった。
連れられた先は、学校長室。
普通の生徒が入ることなど無い場所。
部屋の中央にある接客用のソファーにランドが座っていた。
表情は暗く、二年前と同じ、黒いファイルを自分の目の前のテーブルの上に置いていた。
『座りたまえ。彼から…話を聞きなさい』
そう言って、学校長は退室した。
学校長に言われて、俺はランドの真正面に座る。
重苦しい空気に落ち着かない俺は、ファイルと彼の顔を交互に見ていると、彼はその重い口を開いた。
『単刀直入に言う…』
その時の彼の言葉に、嫌な予感が脳裏を横切る。
絶対に、あって欲しくない現実。
ダメ、それだけはヤメテ…。
心の中でなんども懇願する。
それが、小さな声となって、俺の口から漏れ出す。
そして――。
『君のお兄さんとお姉さんが、死んだ』
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