プロローグ

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登校というものは基本的に一人でするものだと俺は定義している。 何故なら、今まで一度も友人と登校などした事ないからなのだが、それはそれで悲しいことだということを自分でも否定できないあたり、やっぱり悲しく寂しいのかなと思う。 深く友人と付き合うことがほとんど無い自分には、まさしく『非リア充』という言葉が似合う。 別に深く付き合いたいとも思わないので、対して気にはならないのだが、やはり一人は寂しいなと感じる今日この頃。 ふと周りを見れば新しい制服を意外にも早々と着こなす新一年生がちらほらと確認でき、今の季節はうらら、とでも言うべき季節なのだと思ったりもする。 そんなつまらない事を考えながら、自分のクラスに足を向け、前の使用者が随分と乱暴者であったことを証明するように落書きが丁寧にも彫ってある机を見るや否や新しい主人である俺はソイツに腰掛ける。可哀想に。 SHR中に先生からプリントが配られる。それを受け取り、後ろの席に回すために振り向く。小学校から続くこの行為は全国共通であろうなどと考えるあたり、俺はきっと暇だったのだろう。 そして暇が故に、後ろの女生徒が読んでいる本の表紙が目に入り、あろうことか俺は声をかけてしまった。特に本に興味は無かった。むしろ、女生徒が美人であるという認識から興味本位で話し掛けたくらいだ。 しかし、後に俺は後悔した。 なんで話しかけたたのだろうか、と。
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