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ただいま私、それは見事に穴に落ちております。
お父さん、お母さん。先立つ不幸をお許しください……。
こんなに落ちてたら確実に死ぬよね……死ななきゃおかしいよね……。
走馬灯の様に過去の出来事が頭の中に浮かんでは消えていく……。
そう。ことの始まりは、弟の乱入だったっけ……
キーンコーンカーンコーン
授業終わりのチャイムが鳴り、先生は今まで説明していた問題を消しはじめる。
私は素早くノートを片付けると、机の上にお弁当箱を出した。
「よっしゃぁぁぁ!!飯の時間じゃぁぁぁ!!」
ぽふっ
そう叫んだ瞬間、誰かに頭を後ろから軽く触られた。
「誰だぁぁ!!空腹の私はS〇RENの屍人より怖…」
後ろを振り向くと、そこには目を赤く腫らした弟が居た。
「どっ…どうしたの?誰かに虐められたの??」
私の高校は幼稚園から大学まで付属している、それなりに歴史があるまぁまぁお金持ちの学校だ。
中流家庭の私が何故この高校に入れたかと言うと
「普通の家庭の方センスも必要ですわよね。」
とかこの学校のお偉いさんが思いつき、学費免除で一般生徒を募集した中で、見事に勝ち上がったのである。
ちなみに試験内容は、「美味しいカレーの作り方」だった。
そして私に弟が居ることを知ったお偉いさんは……
「ついでに弟さんも小学部へどうぞ」
と言って、弟まで学費免除で入れてくれた。これが金を持て余した金持ちの遊びか……と思いながら、有り難く入学させていただいたのである。
しかし、同じ敷地内とはいえ、小学部と高等部はかなり離れている。なのでわざわざ出向かない限りは会うことは皆無。
そこをわざわざ会いに来るなんて、弟に何があったのだろう……?
「お姉ちゃん……どうしよう……」
一度は収まっていただろう涙が再び弟の目尻に溜まりはじめる。私はポケットからハンカチを出すと、その涙を拭ってやった。
「落ち着いて、ちょっと場所を変えて話そうか?」
教室では沢山の人の目がある。もしいじめであれば、話しにくいだろう。
そう思った私は弟の手をとり、中庭へと移動した。
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