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そいつは、下水道工事のため地上へと這い出た。
ドロドロと黒い色の、形をもたないグニャグニャの奴だ
恐らく今まで誰も見た事はないだろう。
形をもたないそいつは、どこからでも どんな所からでも侵入する。
排水溝 扉の隙間 あるいは天井から… 奴はどからでも入り込む。
そして人間をバキバキと喰い 分離して仲間を増やしてゆく。
この小さな町もパニック状態が続いている。
私も友達が奴等に喰われる瞬間を見た。凄い光景に足は竦み動く事が出来なかった。
奴等は獲物を見つけると円を作り その中に的が入るように近づく…
そして…じわじわ攻め寄り…ネチャネチャの奴らは獲物に吸い付き…バキバキペチャペチャと音をさせ 人間を食べるのである。。。………………………………………そんな日々が十年も経ったろうか?地上は奴等で覆われている…
奴等の事はどんな学者もまだ何も解明していない…
奴等が何かを見付けるまで我々は…人間は生きて行けるだろうか?
地上は奴等の世界である 少数の人間は地下へと身を密めている。これはもう天罰としか言いようがない…すっかりと逆の立場になったのである。
学者達が何かを発見するのを祈るしかないが 私にはもうどうでもいい事になりつつある。
奴等は私の体に纏わり付いている…今っ足が喰われる音がした 意識が……遠退いて…行……く
奴らは徐々に上へと来る…腕に痛みがはしる…
力が…抜けてゆく……もう…ダメだ………
私は遠退く意識の中で自分の体が喰われる音を聞いている………
{終わり}
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