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俺はとにかく幽霊が嫌いだった。
幽霊だけじゃない。
迷信、神、悪魔、魔法…
オカルトと分類されるものは全て嫌いだ。
それが"見える"せいで、蔑まれ、苛められ、怖がられる。
だから悟った。
そんな人間存在してはいけないのだと。
意識を現実に戻す。
なんと実りの無い人生だった事が。
俺は、最後の命綱であるフェンスから手を放そうとする。
「待てよ」
突然後ろから声がする。
振り返ると水色のコートを着た人物が立っていた。
背格好からして同い年くらいだろうか。
緑のヘヤピンとダークブラウンの髪が妙に夜に似合う。
その人物は、俺を咎めるでも止めるでもなくただ俺の顔を見据えていた。
真っ当な人間なら、止めるだろうに。
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