4)会うは別れの始めなり

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 どうしてデザート・ウルフの面々がジョンを慕って集まるのか。  ジョンはキレると本当に怖いけど、でもそうじゃない時は頼りがいがあって懐が大きくて、本当に兄貴みたいなんだ。  そして多分ジョンも、そんなチームメイト達に、護れなかった弟の姿を重ねていた。  デザート・ウルフのチームメンバー全員が、ジョンにとっての弟だったんだ。 「俺は、ずっと、悔しかった」  言って、ジョンは再びグロウと、そして戸口に佇むジェイさんを見た。 「俺だって、チームの誰だって、望んで、こんなところに生まれたんじゃ、ない。なのに、たまたま運が悪かっただけで、生まれた家が、悪かっただけで、こんな、掃きだめを這いつくばるような生活しか、できない」  ジョンの手に、力がこもった。  傷の残る右肩を強くつかまれ、グロウが顔を歪める。    けれどグロウは決して痛みを訴える声は上げなかった。  ジョンの残そうとしている何かを受け取ろうと、真剣な眼差しで彼を見つめている。 「変えたかった。変えて、もっと、普通の、生活を、したかった」 「……わかってる」 「頼む。あいつ、らを、見捨てないでやって、くれ」 「……俺でいいのか」 「お前が、いいんだ」  そう言って、ジョンは俺達と逆のベッドサイドにいるフレッドの方を見た。 「証人は、お前だ、フレッド」  突然傾けられた言葉に、フレッドが慌てて頷く。  何度も、何度も。 「頼んだ、ぞ」 「わかった。任せろ」  重い声で、グロウが頷いた。  そして右肩に視線を軽く傾ける。  食い込むほどに握られた肩。  そこに託された何かを見て、確認したんだろう。 「アレク」 「な、なに?」  突然呼ばれて、俺はもうとっくに止まらなくなってる涙をぬぐった。 「きちんと、学校に、行けよ」 「行ってる!」 「お前が、一番、心配なんだ」 「何でだよ! てか、心配なら生きてずっとし続けてくれよ!」 「弟に、そっくりだったんだ」  俺は囁かれた言葉に、目を見開いた。  吸い込んだ息そのままに、絶句してしまう。
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