4)会うは別れの始めなり

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「……どうしても、行かないとだめなのか」  押し殺した声でグロウが言った。 「別に髪の色が問題なんだったら染めたらいい話だろうが。出て行くほどでもない」 「それを言うならフレッドに言ってやれ。また撃たれるかもしれないからな。お前もできたらしばらくは色を変えておいた方がいい」 「だから! そういうことを言いたいんじゃねえよ!」  グロウは声を上げると、ジェイさんの胸ぐらを掴んだ。 「お前がずっと、家族奪った奴ら追いかけてるの知ってる! 絶対に復讐してやるって思ってることも! 俺はずっとそれを手伝ってやりたいって思ってたのに、どうしてお前が独りになるんだ!」 「グロウ……」 「戦うならデザート・ウルフの奴らと戦えばいい! あいつらだってお前を仲間だって認めてる! 協力だって――」 「――そう言って!」  ジェイさんは、グロウの叫びを遮るように、声を上げた。 「そう言って、あのチームを強くしようとした結果が、これじゃないか!」  ジェイさんの言葉に、グロウも、そして俺も息を呑んで言葉をなくした。  沈黙の降りた部屋に、彼の声が痛いくらいの残響になって、響く。  ――この際デザート・ウルフの組織力を利用してやろうよ。  そう告げて、ジェイさんに話を持ちかけたのは、俺だ。  あの夜、今とほとんど同じ構図で、独りになろうとするジェイさんをつなぎ止めるために。  でもそれが、デザート・ウルフの名を売り、そしてどこからか二人の情報が、漏れた。  いや、どこからか、じゃない。  調子に乗って新聞に映ったことがある。  それ以外、考えられない。  つまり元を正せば、全部―― 「……アレク」  俺の考えを読んだようにジェイさんが俺の名を呼んだ。
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