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――ねえ、ジョン。
俺、今日あんたの年齢超しちゃったんだ。
学校には行ったよ。
無事高校まで卒業した。
大学には親に行けって言われたけど、やりたいことが決まってないから行ってない。
やりたいこと決まったら行くよ。そのうちね。
親父との関係は――まあそこそこ。
お酒が飲めるようになってからかな。時々晩酌につきあって話したりするうちに、お互い意地張ってるのもばからしくなってきたところがあってね。
いがみ合いの喧嘩はしなくなってきたよ。
ま、あっちも歳だしね。そろそろ折れて孝行してやるつもり。
スラムはいい雰囲気になってるよ。
グロウがあの調子だからね。
あいつが暇さえあれば遊んでる子供達、みんなチームの候補生担っちゃってるのだけが困りどころなんだけどさ。
でも雰囲気は明るくなった。
チームとしての連携も、結構いい方だと思う。
デザート・ウルフは護りきることができなかったけど、それでもそれを母体として作ったBlaze Wolfはきっと護りきってみせるから見ててね。
今は結構大きな事件に巻き込まれてるっぽくて、実はちょっとヤバイ状態。
ジェイさんは突っ走っていきそうだし、それを引き戻すためって行ってグロウも危険につっこんで行っちゃいそう。
そこが怖いんだけど、ジョンも少し見張ってやってくれないかな。
俺も頑張るから。
友達と言うには少し抵抗があるし、逆にそんなふうに表現するには甘いような気もするそんな相手だけど。
すごく大事なやつだから。グロウは。
ジェイさんも大事だけど、でもやっぱり俺がチームを築いてきたのはグロウだから。
戦っていく俺達を見守っていてよね。
「……なんて、感傷だよね」
心の中で思いを紡いで、最後にそんな苦笑を滲ませたような言葉を吐いた俺は、あ、と声を上げた。
そんな俺の目の前を、滑るように星が落ちていったからだ。
まるで、ジョンが聞き遂げた、とでも言ったみたいだった。
「それもまあ、感傷――なのはわかってるけど」
ありがとう、ジョン。
呟いて、俺は窓を閉めるとまた、パーティ会場に戻った。
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