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パーティ会場に戻った俺は、改めて会場を見回して、苦笑した。
冷静に見たら、本当に不思議な集まりだったから。
スラムのストリートキッズ上がりに、お嬢様、どこのエリートビジネスマン――というかホスト? ――という感じの出で立ちの男に、筋肉マッチョ。
これが全てあの時の出会いが始まりなんだとしたら、本当に人の縁とは不思議なものだよね。
『俺はグロウだ。グロウ・マラス』
そうして差し出された手。
『こうきたら、よろしくの握手だろ?』
戸惑いながら俺は、その手を取った。
『……よろしく』
――あれが、全ての始まりの瞬間。
背負った十字架はもう下ろせないけど、でもあの出会いは無駄ではなかったと信じたい。
過去はもうやり直せなくても、きっと未来には、もっとすばらしい出会いと、すばらしいなにかが待っているはずだから。
ああ、だから今、この世界のどこかで生まれているだろう全ての出会いに捧げよう。
ハッピーバースデー!
--fin
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