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GLOWとは熱せられて赤くなったような色味や光を指す名詞で、動詞で使う時は鉄などが熱せられて赤くなる状態を言う。
その髪も瞳も、そしてそれを一層際だたせるような白い肌も、名は体を表すとはこのことである。
「なんかよくわからねえけど、サンキューな」
ニカッと笑ってびしっと手を軽い敬礼のように振ったグロウさんに、ベッドサイドに立ったジェイさんは大きな溜息をついた。
「……お前、相変わらず軽いな」
ため息とともに重ねられた呟きに、今度はグロウさんが食らいつく。
「軽くねえだろ。この誠意伝わらねえかな~ジェイには」
「俺は未だかつて、お前から誠意というものを感じたことはないよ」
「うわっひっでえな」
呟いて、グロウさんは左手で頭をがしがしと掻いた。
「ん~……じゃあ、あれだ!」
そう言ってグロウさんは俺を見る。
「後でアメちゃんを買ってやる。お駄賃代わりだ」
その言葉に、俺は絶句した。
「お駄賃って……」
「いや、それはお前、失礼すぎるだろ」
見かねたジェイさんも諫めてくる。
「え~、だって俺が三、四年生くらいの時は、お駄賃でじいやがあめ玉くれたぜ」
「いや、そうじゃなくてだな……」 ジェイさんが慌てた風に俺の方を伺いながら彼を諫める。
でも俺は長身のジェイさんの腕を掴んでずい、と前に進み出るとにっこりと笑った。
「誰が、三、四年生だって?」
問うと、グロウ少年はきょとんとした顔で俺を見る。
「誰って、お前だろ?」
そこで俺は、ぶちっと―――キレた。
「俺はもう、八年生(中学二年)だあああ!」
「八年……て、ええええっっ!? 俺と二コ違い!? どんだけベイビーフェイスなんだよ!」
「違う! 日本じゃこれが普通なんだ! あんた達白人が無駄に老け顔人種なんだよ!」
「老け顔人種……!」
「今に見てろよ! あんた達が老けて皺だらけになっても、俺はぴちぴちのまんまなんだからな!」
言うと、俺はびしっとグロウ(こんなやつ呼び捨てで十分だ)を指差した。
「アジア人なめんなよ!」
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