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SKID ROWの奥深く、ビルとビルの谷間みたいな場所にフレッド達のチームデザート・ウルフのアジトはあった。
俺はフレッドに相変わらず引きずられるようにしてその中に引っ張り込まれる。
鉄の扉を開けて、中に入ると、そこにいたのは数人の柄の悪い少年達。
まだ未成年だというのにたばこを吸ったりお金をかけてカードゲームをしたりとやりたい放題の彼らは、ギャングと言うにはまだまだだけどストリートキッズとしての風格は十分な感じだった。
現に彼らは周辺の住人からも『デザート・ウルフの面々は質が悪いのでなるべく関わらない方がいい:』と囁かれるくらい、ちょっと、を通り越してかなり悪いやつらばっかりだったりする。
でもそれは、あくまで外から見た時の話。
俺が行くといつも、
『お、アレクじゃーん』
とか、
『相変わらずちびっこいな~』
なんて言いながらわらわら集まってきて俺の頭をぐりぐり撫でてくるところは結構人なつっこくて、いいやつらだ。
明らかに同い年とか年下のくせに、俺を子供あつかいしてくるところが、俺としては非常に腹が立つんだけど。
コンプレックスだってわかっていながらやるから特にね。
だけどーー
「ジョンはどこにいる?」
フレッドが言うと、俺達が入った時点でカードゲームの手を止めていた二人が、くいっと親指で奥の方を指した。
軽く礼を言い、フレッドが俺の腕を引いた。
蹴躓きそうになるが必死に身体を支えて後をついて行く。
ーーだけど俺は、視線だけは、どうしてもあげることができなかった。
フレッドに引きずられていく俺を、リビング代わりの大部屋にいた全員がじっと眺めていたのだけれど。
その目が、ひどく冷たかったのだ。
本当はアジトに入った時から、気づいていた。
明らかに空気が凍ったし、視線がまるでナイフのように鋭くなったから。
色とりどりの色彩の眼差しが、突き刺すように俺を見ていてーーこんなこと、ここに入り浸り始めて初めての経験だった。
確かに俺はチームの規律を乱したかもしれない。
でも、それだけでこんな目を向けられるのだろうか。
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