2)災害が忘れた頃にやってきた

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「おう、そうだお前ら」  アジトを出ようとしたジョンが、ふと扉の脇にいるジェイさんに視線を走らせ、それからアジトにいる面々に声をかけた。 「せっかくだからこの兄さんのお相手もしてやりな」  そう言い残して、ジョンはアジトを出て行く。  ギィと音を立てて鉄の扉が閉まると、妙に詰まった沈黙がそこに垂れ込めた。  その場にいたメンバーの視線がジェイさんに集中する。  ジェイさんは身構え、少し足を引いた。  胸元に手を忍ばせるけど、それにしても状況は不利だ。  シリアス--にならないといけないみたいだった。やっぱり。 「ジェイさん!」  俺はさっとに立ち上がってフレッドの隙を突いて脇を駆け抜けると、ジェイさんの側に駆け寄った。 「それはまずいよ。しまって」  俺が声を抑えて囁くと、ジェイさんは「だが……」と反論する。  俺はそれを遮って続けた。 「球数は限界があるでしょ。この人数は倒すより玉がなくなる方が速いよ。それより--」  言って俺は周囲を見回した。  人数で言ったら十人ちょい、というところか。 「これって、正当防衛だと思う?」  問いかけると、ジェイさんは少し戸惑ったように首をかしげた。 「……どう考えても、正当防衛だとは思うけど」 「先に手を出されてなくても?」 「あ、ああ……あちらはこちらに暴力をふるう気満々だしな」 「ん……じゃあ、なんかあったらそう言って俺をかばってね」  そう言って俺がにこっと笑うと、ジェイさんはますます事情が読めない、と言った風に眉根を潜める。 「かばうって、誰から」 「クソ親父」  言って、俺は軽く腕を伸ばすようにストレッチをしながら一歩前に足を踏み出した。  手首をぐりぐりと回す。 「みんな悪いけど、ジェイさんは俺が巻き込んじゃった完全な被害者だから、代わりに俺が相手させてもらうよ」 「なに言ってんだアレク。お前みたいなチビが俺たち相手に何かできるわけないだろ」 「ん~まあ、普通だったらね。それに俺もホントは素人さんには手を出したくないし」  言いながらも今度は足首をぐりぐり。
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