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だとしても正直、その豹変っぷりには驚くものがあったよ。
だけど、こういう一人の強烈なボスのいるチームなんてそんなものなのかな、と当時の俺は単純にそう思っていた。
ううん。もしかしたらデザート・ウルフは俺にとって居心地がいい場所だったから戻れて嬉しかったし、考えないようにしていたのかもしれない。
まあ、重ね重ね子供だったと思うよ。
そういう意味では、メンバーの方が大人、だったのかな。
――その話をし始めるとまたちょっと時間がかかるので、置いておいて。
ここで取り上げたいのはジョンの話。
実はグロウとせっせと友情を育んでいたジョンに、俺は度肝を抜かされるくらい驚かされたことがあったんだ。
「よう、アレク。グロウはいるか」
その日、ブザーが鳴って、相変わらず出ようともしないこの家の主人の代わりに玄関に立った俺にジョンはそう言って、家の中を覗きこんできた。
理屈で言ったらグロウはフェイの病院兼住居に入院中なわけで、しかもジェイさんの厳命もあって外には出ないようにしていたから、いないということの方がありえなかったんだけど、まあ、訪問者の礼儀として聞くことにしていたみたいだね。ジョンは。
毎回来るたびにそうやって聞いてきてたから。
変なとこ律儀で、そういうところ、可愛いと思うけど。
――て、話がそれたね。
話を戻して、そうやって俺への挨拶もそこそこに家をのぞき込んできたジョンを、玄関に立った俺は見上げる格好になったわけだけど。
俺はその姿勢のままその場で凍り付いてしまっていた。
「おう、ジョン。今日もきたのか」
そこへ、恐ろしいくらいに耳のいいグロウが、玄関でのそんなやりとりを聞きつけてリビングまでやってくる。
それからグロウも、おお、と言って驚きに足を止めた。
「髪染めたのか」
「かっこいいだろ」
そう言ってジョンは、つんつんの髪を軽く撫でて見せた。
彼の肉厚のある手に撫でられて揺れたその髪の色は、鮮やかすぎるくらい――赤。
確か俺の記憶が確かならジョンの髪の色は栗色だったはずなんだけど、つんつんの髪型は変わらないまま、髪色だけものすごく派手に変化してたんだ。
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