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「そんなふざけたこと考えてるなら、本気でぶん殴るぞ、ジェイ! どれだけ見下げてんだ!」
「見下げてなんてない。お前のことを考えてたから、俺は……」
「俺のことじゃない! お前自身のことをだ!」
言うと、グロウは俺の身体を押しのけるようにして、ソファに膝をかけ、ジェイさんとの距離を詰めた。
再び胸ぐらを掴み上げ、引き寄せる。
「俺の中のお前の価値が、簡単に誰かで代わりがきくほど軽いもんだって、そんな風に思ってんのかよ!?」
グロウの言葉に、ジェイさんがアイス・グリーンの眼差しを大きく見開いた。
「俺や、ラヴィや……もういないチビ達や、それにここにいるアレクだって、そんなにお前を軽く見てたと思ってたのかよ!?」
ジェイさんはまるでその考えが頭になかったかのように、呆然とグロウを見つめ返す。
俺は、そんなジェイさんをものすごく悲しい気分で見下ろしていた。
別に自分を卑下しているんじゃないんだと思う。
だけど彼の中では彼の存在は他人に何か迷惑をかけるだけの厄介者のようなそんな考えが根付いてる。
そんなの、悲しいじゃないか。
これだけ魅力的な人で、暑苦しいけど必死になってくれる友達がいるのに。
それすらも諦めなきゃならないなんて、悲しすぎるじゃないか。
「……ジェイさん。デザート・ウルフのメンバーや、スラムをどうかしたいってのは俺も賛成だよ。でもそれがジェイさんが孤独になることが引き替えだって言うのなら、俺は反対だ」
俺はしゃがみ込んで、ジェイさんの顔をのぞき込むようにして続けた。
「なにがあったのか話せないなら話さなくていいけど、もう少しずるくなってもいいじゃない? この際デザート・ウルフの組織力を利用してやろうよ」
「アレク?」
この意見には、グロウの方が疑問の声を上げた。
俺は、視線だけをグロウに向けてその疑問を封じると、さらに言葉を募らせる。
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