3)弱きを助け強きをくじけ!

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「二人が狙われているというのなら、そこから身を守るための盾にすればいい。代わりに、デザート・ウルフをもっと強くするんだ」   「そのために、さっきの作戦か?」  グロウが聞いてくる。俺はこくんと頷いた。 「それがベストかどうかはわからないよ。でも変えるきっかけにはなると思う」 「……だってさ。どうするよ」  そう言ってグロウはジェイさんを見た。  力なく首をもたげていたジェイさんは何かをこらえるように目を閉じる。  お願いだ。頷いて。  出会って数週間だし、そんなに深い仲って訳じゃないんだろうけど。  でも俺は、二人が道を違えるなんて嫌なんだ。 「……せ」  しばらくして、呻くようにジェイさんが言った。 「いい加減、離せ」  そう言って、グロウの手を叩く。    グロウをずっとジェイさんの胸ぐらを掴んでいたことを失念していたようで、その言葉で慌てて手を離した。  するとあまりに急に離したものだから、また彼はソファに放り出される格好になってしまった。 「お、まえは……人の身体をもう少し丁寧に扱うことができないのか」 「お、おお。すまん」  ジェイさんはため息をつくと、けだるそうに身体を起こした。  それから、顔を覆い、さらに重い息を一つ吐く。 「……降参だ」  ぽつんと呟いて彼はグロウと、そして俺を見た。 「俺の負けだ。アレクの案にのる」 「アレクの案ってのは、金持ち相手の泥棒やるってことか?」 「それもまあ、あるけど……」    言ってから、どこか気まずそうに、そのくせ照れくさそうに視線をそらして、彼は続けた。 「お前と距離を取るとかそういうのも、やめる」 「当たり前だろうが。傷つくぞ」 「全然気づいてなかったくせに」  ぼそりとジェイさんが言うと、グロウは「なにを!」と言ってジェイさんにつかみかかった。 「ばっ…ちょっやめろ! 馬鹿力!」 「うるせえ!」  首に腕を回すとそのまま締め上げるグロウにジェイさんが非難の声を上げるけど、グロウは一言で切り捨ててさらに力を込めた。
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