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結局三人でいろいろ話をした結果、俺の出したアイディアがいいかもしれない、と言うことで落ち着いた。
例の、石川五右衛門作戦ね。
……石川ごーもんじゃなく。
あくどいやつからいただいて、デザート・ウルフ含むスラムでクラス人々で分け合おうってやつさ。
その提案を聞いたジョンは最初、もちろん驚いていた。
けれどすぐに面白そうだと乗ってくれた。他のメンバーも似たような感じだった。
でもそれからが大変で、情報収集に作戦立案、必要な道具の手配などなど大わらわだったんだ。
――そんな中、役立ったのが俺のつなげたアジトのインターネット。
フェイの家にもネットが仕えるPCはあったけど、流石にフェイにまで知られるのはまずかったからさ。
そこでちょくちょくデザート・ウルフのアジトにジェイさんやグロウが出向いていって、そこで得た情報からターゲットを決めたり、決めたターゲットの周辺情報を洗っていったんだ。
俺は主に作戦立案に協力していたんだけど――いや、驚いたね。
ジェイさんの頭の回転の速さと言ったらなかったんだもん。
何か課題があって、その課題に対して調べた情報とかが上がってくるとするでしょ?
そうするとそれをさっと目を通したかと思うと、ぱぱぱっと次の方針や解決策を打ち出して言っちゃうの。
メンバーがまだ資料を読んで情報把握している途中くらいの、そんな状態でだよ。
もう、すごかったね。
作戦たてるミーティングには、ジェイさん以外にはリーダーのジョンと数名の幹部級、それとグロウと俺が参加していたんだけど、ジェイさんが次々と打ち出してくる提案にほとんどのメンバーがついて行けていなかったよ。
だけど天才すぎる彼には大きな欠点があった。
周囲との自分の頭の回転の速さのギャップを把握して、その上で周りに合わせながら進める方法を、この時のジェイさんはまだ、知らなかったんだ。
だから端から見たらジェイさん一人が突っ走って、まわり置いてけぼり。
そんな姿に次第に周りのメンバーが苛立ってきてしまっていた。
しかもそれまでジェイさんとデザート・ウルフのメンバーは距離を置いていたところがあったからね。
ボスを差し置いてあいつなんなんだ、みたいなムードが漂い始めちゃったんだよ。
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