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【ジェイ。聞こえるか】
「グロウ! 無事だったのか!」
【ああ。あのゴミバケツもぶっ倒して、金塊も無事だぜ】
「金塊?」
グロウからの通信が入った途端ジェイさんの周りに集まった面々は、困ったように顔を見合わせた。
何故ここで金塊が出てくるのかわからなかったからだ。
もちろん通信を受けてるジェイさんもそうで、眉根をしかめてはいた。
だけどその意味不明の発言よりはまず、無事を喜ぶべきだろう。
「無事で良かった」
【フレッドのおかげだ。あいつ射撃すげーのな】
「そうなのか?」
【たった三発で動き回るロボットのセンサーに当ててくれたぜ】
「お前はどうだったんだ?」
【自信ないって言ったらフレッドが撃ってくれたんだよ。んで、俺は動きが鈍くなったゴミバケツにドロップキックアンド金塊でのゴールデンアタックよ】
「うん。激しく意味はわからないが、フレッドが大活躍だったことはわかった」
【冷た!】
「……とりあえず、無事みたいだ」
それ以上グロウの相手をする必要もないと思ったのか、ジェイさんはマイクを口元から離し、ジョンを見た。
「撤収の号令、かけてやってくれ」
力が抜けたようにかすかに降格を上げて笑ったジェイさんに、ジョンが力強く頷くと、肩にかけていた特製LLサイズのヘッドセットのマイクに呼びかけた。
「やろうども、ご苦労だった。ミッションは無事終了だ! 後は予定通りそれぞれ班別にアジトに戻ってこい!」
その言葉に、仮設基地の中で歓声が起こった。
俺はどうもグロウの心配に相当神経を張り詰めていたらしくて、歓声もそこそこに床にへたり込んでしまう。
そんな俺に、ジェイさんが軽く緩ませた眼差しを送ってきた。
俺も力が抜けたような笑みを向け、そして拳をあげた。
やってきたジェイさんがその俺と拳を合わせてくれる。
たった三十分。
だけどそれが俺達の初ミッションで。
結果は大成功、だった。
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