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それからしばらくは穏やかすぎるほど穏やかな日々だった。
ただし俺の場合、しばらく身動きがとれなかった、とも言う。
というのは帰宅した俺は話し合いもそこそこに、親父とバトルモードに突入し、本気の殴り合いの喧嘩でぼこぼこにされたからだ。
ただ俺もやられっぱなしだったわけでもなくかなりぼこぼこにしてやった。
それで俺は寝込んだけど、親父も腫れ上がった顔で会社に行く羽目になったんだからまあ、おあいこでしょ。
看護師の母さんはそんな俺達は呆れたように見ていた。
でも、俺の手当をしながらぽろりと、帰ってきてくれて嬉しい、と呟いた。
そりゃ親に顔を合わせないようにはしていたけど、家に全く帰ってきてなかったわけじゃないし、母さんとは会話がなかったわけじゃないんだけど。
やっぱり寂しかったみたいだ。
なんかその一言を聞いたら、ああこれ以上、やんちゃはできないな、とちょっと思ってしまったりした。
だから動けるようになってからは学校には行くようにしたんだ。
これまでのツケが貯まって見事留年だったけど、別にそんなに苦でもなかった。
同じクラスの子から少し遠巻きに扱われたってかまいもしなかった。
だって、友達は別にいたからね。
朝きちんと起きて学校に行って、放課後はデザート・ウルフのアジトに寄って一通り遊んで、日が変わる前には家に帰る。
それがデフォルトの生活になった。
そんな中で特に睡眠時間には気を遣ったよ。
何故って?
――成長期だったからね。
あの最初のミッションでの雪辱は晴らしてやろうと頑張っていたわけ。俺なりに。
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