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『薬?』私は箱の中に入っている丸い小さな錠剤を1粒、右手でつまみ上げ蛍光灯の灯りに照らす。 『そ、薬。どんなガンの痛みも取り除ける特効薬。モルヒネみたいに副作用も無い薬』 『末期ガンの痛みも取り除けるの?』 『うん』和哉は小さく頷き微笑む。 『どんなガンでも痛みを取り除ける薬。じゃ~その薬の本当の正体はなんだと思う?』 『何だろう?解らないなぁ…』 『ブドウ糖だよ』 『ブドウ糖?ブドウ糖ってそんな効果があったんだ…』私はウンウンと頷き和哉の言葉に感心する。 『痛みを取り除くなんて効果はブドウ糖にはないよ』そう言って和哉は悲しそうな顔をする。 『えっ?でも今…』 『それはブドウ糖だけど患者さんに処方する時にはガンの特効薬って言って処方するんだ』 『それって嘘じゃん』 『嘘も信じれば本当になる。患者さんがブドウ糖を特効薬として心の底から信じる事によって体が騙されるんだよ』 『つまりブドウ糖も飲む人がどう思って飲むかで体に及ぼす影響が変わるって事?』
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