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『そ、つまり病は気からっていうのは強ち間違いじゃない。それにストレスが体に悪いのも“心”の存在の裏付けにもなる』 『心ってちゃんとあるんだね…』私は自分の胸に手を当てながら呟く。 『あるよ。絶対。心と体は繋がっていてさ、辛い時、無理矢理笑うと心が楽になったりもする。勿論、逆もあるけどね』 『そっかぁ…』私は胸に当てた手を閉じる。 手から微かに心臓の鼓動が伝わってくる。 母体の中で脳より先に心臓が創られる。 人の命が終わった判断基準として“脳死”というのがあるけど本当は心臓が働きをやめた時、本当に命が終わるのかもしれない。 そう変な事を思ってしまった。 『それに熱くない鉄の棒を熱いと思い込んでる人につけるとその人が本当に火傷する事もあるし、人間は心に振り回される生き物なのかもね』 『うん。そうか…』 『したっけ、俺、仕事あるから行くね』そう言って和哉は立ち上がった。 パイプ椅子がリノリウムの床に擦れて滑稽な音が私と和哉がいる狭い空間にこだまする。
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