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『したっけ、通訳はいらないよね?』 『うん。いらない…』ボソボソと呟く和哉。 懐かしい彼、独特のくぐもった声。 『ねぇ~、何で日記帳に涙の跡があったの?』 『な、涙?し、知らない…』あからさまに狼狽える和哉は視線をあちこちに飛ばした後に俯き、下を向く。 俯く和哉の姿を見て寂しくなった。 せっかく会えたのに和哉の顔が見えなくなったから。 『ねぇ~、何であんな大金を私にくれたの?』 『それは…後々、結婚破棄とかでゴタゴタ言われたくなかったから』 『どこに行ったか解らない相手にゴタゴタ何て言えないじゃん…』 『そうなんだけど…でも実際、栞はまた俺の目の前にいるわけじゃん…』そう言った和哉の唇は言い訳をする小さい子供のように尖っていた。 『私だけの力じゃ和哉を見つけられなかった…。珠ちゃんが見つけてくれたんだ』 珠ちゃんは凄い情報網を持っているらしく、私が珠ちゃんを納得させる結果を出した後、1週間で和哉の場所を見つけ出してくれた。 そして私は賭けをした。
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