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私が手首を切って和哉の病院に運ばれたら心臓外科の和哉が目を覚ました私の傍にいてくれるかどうかの賭。
勿論、珠ちゃんはそんな命を粗末にする賭に反対したが、私の説得に根負けし、協力してくれて救急車を呼んでくれた。
『そっかぁ…』何だか和哉の声には元気がない。
『ねぇ~、何で高校の時の日記帳を私に渡してくれたの?』
『それは…てか、英語止めね?』和哉は顔を上げてぎこちなく笑う。
「解った。ねぇ~、いつまでそこに立ってるの?」
「ごめん…」そう言って和哉はツカツカと近寄ってきてまたパイプ椅子に腰をおろす。
しばらく、静寂が和哉と私を包み込む。
話したい事はたくさんあるけど、いざ、和哉を目の前にすると考えていた言葉が出て来ない。
「和哉…結婚はしてるの?」恐る恐る訊ねてみる。
「してないよ…」小さくボソボソとした声が彼の口から漏れ出る。
彼のその言葉にちょっと安心した。
「彼女はいるの?」
「いない…」またボソボソとした弱々しい声。
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