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「好きだよ」
「足りない」
「好きだよ」
「足りない」
「好きだよ」
「和哉のバカ…」私は口を尖らせて呟いた。
「何がだよ?」
「バカだからバカって言ったんだよ」
「バカって…意味解んないから」
「好きじゃ足りないって言ってるの!気付けよバーカ」
和哉は「呆れた」と言う代わりに大きめの溜め息をついた。
そして私を抱き抱えたまま真っ直ぐに私を見つめる。
「俺は栞を愛してる。未来永劫ずっと栞だけを愛し続ける」
「バ…カ…」私はそう呟いて和哉から視線を外した。
心臓がキュッてなって何か息苦しいけど何だかその苦しさは温かくて心地良い。
「栞は?」
「何が?」私は視線を外したまま返答した。
「だから…俺の事、どう思ってるか…」
「アメリカまで追っかけて来たって事はどういう事か解るしょ?私、お医者さんになるまで和哉に会わないって決めててもう33歳だよ?おばさんになっちゃったじゃん…」
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