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「ごめん…。でも栞の気持ちはちゃんと言ってくれないと解んないよ」と和哉は優しく私の耳元で囁く。
「す…す…」
「何?聞こえない」
「好き」
「裏切られたのに?」
私は小さくコクりと頷く。
「また栞を騙すかもしれないけど、それでも?」
私はまた小さく頷く。
「そっかぁ…。でも…俺は栞とは付き合えないよ…」
私はその言葉に溢れそうになる涙を堪えて和哉のガラス細工のような瞳を見つめる。
和哉の顔はぼやけても綺麗なままだった。
「何で?」嗚咽を我慢してそう吐き出す。
「怖いんだ…また裏切られるのが…裏切られるくらいなら付き合わない方がましというかぁ…」
「そうだよね…。あのさしたら結婚しようか?」
「何でそうなるんだよ?話飛躍しすぎだし!」
「だって、和哉は裏切られない保証が欲しいんでしょ?」
「そうだけど…」
「したっけ結婚しかないじゃん」
「でも…」
「それに結婚式の後に婚姻届を一緒に出しにいこう?って言ったのは和哉だし…」
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