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「アメリカ合衆国」雫は自慢気にそう答える。
「正解。雫、偉いね」和哉はデレデレとだらしない表情を浮かべる。
和哉は雫に大甘だ。
いつもそれで光臣がすねてるの知らないのかな?
「パパ、肩車して」雫は潤んだ瞳で和哉を見上げる。
「おぉ、良いぞ!」和哉はそう言って雫をヒョイと自分の上にのせた。
そして和哉は光臣と手を繋ぐ。
光臣には『日本男児らしく俺の事は親父と呼べ』と偉そうに言ってるのに雫の『パパ』発言には何も言わない。
その事で瞳さんに相談したら『男兄弟だったから女の子の扱い方が解んないんじゃない?』と一蹴された。
まぁ~確かにそんな感じは薄々してたけど…。
雫のお風呂は絶対に自分でやりたがらないし…。
かといって光臣とは一緒に入りたがるし。
私は光臣と一緒にお風呂入ったこと無いのに…。
「ねぇ~、本当にこの子が男の子か女の子か知らなくて良いの?」私は自分のお腹を擦りながら嬉しそうに雫に肩車をする和哉の横顔に訊ねる。
「うん。知らなくても大丈夫。性別なんて対した問題じゃないし。ただ五体満足で産まれてきてくれたらそれだけで良いから」そう言った和哉の顔は幼い記憶の中の私のパパの横顔とダブった。
光臣と手を繋ぐ私の手をふるとチャリンと金属音がした。
私達の前を歩くラブが夕日に向かってくしゃみをした。
犬も人間も太陽を見るとくしゃみが出るのは変わらないんだ。
人間と犬との境目なんてあやふやな気がした。
- END -
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