destitute

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黒い何かが私のそれを邪魔する。 頭を働かせようとすると頭がズキッと痛んだ。 「あ、あ、な、たは?」 「新田って言えば解るかな?」そう言って彼は優しく私に微笑む。 新田?新田? 私は頭の痛みを少しだけ我慢して自分の中の記憶のページをめくる。 新田って誰だっけ? 結局、思い出せなかった。 「覚えてないのは無理もないよ。もう7年も前の事だからね」そう言って優しく彼は微笑むが私を見つめる目だけが寂しそうに見えた。 7年前?何があったっけ? 思い出せない。 「自分の事は誰だか解る?」 私は…?私は…? 「は…は、す…蓮見栞【はすみしおり】」 そうだ。私は蓮見栞だ。 「良かった。自分の事は解るみたいだね。栞、体調はどう?」 体調?体調は最悪。頭が痛くて全身が鉛のように重い。 「喉が…」とりあえず何か飲みたい。 口が渇いて仕方がなかった。 「喉が渇いたのか。解った。何が飲みたい?」 何でも良い。何でも良いから何か飲みたい。
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