189人が本棚に入れています
本棚に追加
《序幕-prologue-》
目が覚めたのは、暫く経ってから。
水底から引き上げられる様に歪んだ視界がひらけて、周囲の光景が鮮明に飛び込んで来た。
辺りは一面、岩に覆われた荒れ果てた土地。
『……』
見回しても、周りには誰もいない。
乾いた大地以外には何もない。
ふと声をあげようとして、思い止まった。
こんな時、何て言えばいいのか分からなかったから。
『……』
黙っていても変わらない、でも叫んでもきっと変わらない気がした。
『……』
ふわりと、何かが舞い降りた。
それは次々と降り積もり、目の前を覆って行く。
最初のコメントを投稿しよう!