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「だから、私、決めたんです。もし元気になれたら、二人には十分休んで欲しいって。私が生まれる前までは二人とも良く海外に旅行に行ってたんだって聞いて…私も元気になったし…それで、二人にお願いしたんです。私は大丈夫だから、行って来てって」
「ご両親は、納得したのか?」
確かに希紗の願いは分かる。だが、それ程までに彼女を愛している両親が側を離れるとは思えず、思わず問い掛けると希紗は苦笑いをした。
「いえ、最初は全く…病院での検査も問題なくて、先生も奇跡だって言ってくれたのに、中々“うん”って言ってくれなくて…」
「それはそうだろう」
「でも、最後はちゃんと折れてくれましたよ?1日五回、必ず電話をする事と、何かあったら秘書さんに直ぐに連絡をする事って条件付きですケド」
そこまで言うと、希紗は静かに写真立てを元に戻した。
「希紗…」
その表情に何となく心がざわつくのを覚えて声を掛けようとすると、不意に希紗は立ち上がり
「あ!お風呂沸いた見たいですね。白哉さん、お先にどうぞ。私、着替えを用意して来ますから」
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