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「……………。」
歩きだして数分。
オレと真琴は着々と孤児院への帰路を進んでいた。
しかしあくまで着々と歩いているだけで会話が一切ない。
というか正直気まずい。
ずっと隣にいる真琴に顔をじろじろと見つめられているのだ。
「なんだよ!」
「少し……カッコよくなった…。」
「…………へ?」
オレが聞き返すと真琴はすぐに「なんでもない。」とだけ言って顔をそむけてしまった。
いつの間にかお世辞も言えるようになったんだなと喜ぶ自分が随分老けた気がしてならない。
すると突然、真琴がなにかを思いだしたように再びこちらに顔を向けてくる。
「……院長先生は?」
……くると思った。
後でゆっくりと話そうとは思ってたけどそのことを口にするのはあまり気が進まない。
けど隠すのはコイツのためにもならない……よな。
「叔父さんなら死んだよ、去年……。」
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