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彼の身なりはとてもじゃないがお洒落とは言い難く。
頭は爆発しているし、ジャージは絵の具まみれ。
外に出すのも何だかなあ、と思ったけれど。
「篭ってたら、知性も感性も根腐れしますよっ!」
ただ純粋にそう思った。
でも――
チガッタ。
「い……」
彼には……
「いや、だ……あ」
『タブー』があるのだ。
「えっ」
「イヤダアッッ」
「ちょっと……!」
だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめなんだめなんだめなんだだめだめだめだめだ
大海のうねりのような、感情の渦が青年からどろりと溢れた。
勢いがあるわけではなくて。
それは、深い深い底から掬い上げてしまった粘着質のヘドロのような。
だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめ
だめなんだめだなんだめなんだめなんだめだめなんだだだだためだ
頭に楔を打ち込まれたような衝撃に、一瞬視界が白く染まる。
と、次の間には青年の姿が消えていた。
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