◇夢は過去の中に◇

30/36
前へ
/405ページ
次へ
しばらく間を開けて、山崎さんを見た・・・ 山「・・・」 カイ「・・・!!」 ・・・そこには静かに綺麗な顔を濡らしている山崎さんがいた。 泣いている、と気付くまで、私はついその顔を凝視してしまう。 ────あぁ、 待っていてくれているんだ・・・ 私が前を向く、その時を──── その顔を見たら、自然とまた覚悟が固まってくる。 山崎さんの優しさが、悲鳴を上げる心をそっと慰める・・・ そして私は再び、暗い闇を、呼び戻した・・・ ――― 「諧奈ちゃーん♪」 「あっ、海斗さん!!」 「あーーー!!だめだめ、《海斗兄ちゃん》って呼ばないと♪」 「なにそれ(笑)」 私に友達はいなくなっても、お兄ちゃんには凄く、凄く仲のいい友達がいた。 名前は、山本海斗-ヤマモトカイト-さん。 明るくて、面白くて、優しい。 もう一人のお兄ちゃんみたいな人だった。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3642人が本棚に入れています
本棚に追加