十六歳の陸奥守

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結城はそばにいる息子の親朝(ちかとも)に言った 「なぜ急がれるか、お前はわかったか?」 「いえ あえてこれほどまで急がれる理由は私にもちょっと…」 「武士の親朝でさえわからなんだ 京の頃は、まことご無礼ながら学だけの方だけと思っておりました 十六という年齢を思えば驚嘆すべき学識でございますが」 「あれは私が教えたことをまるで砂が水を吸い込むように取り込んだ 5歳のころからの学問など生きるものかと思ったがな…」 「下向の間、学識など露ほどお見せになっておりませぬ 武将の心得を私がお教えしなければと思っておりましたが、なんの。 それもよくよく心得ておいででした」
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