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「きっと大塔宮のお側にいたせいだろうな」
「あとは楠木正成(くすのき・まさしげ)殿ですな」
「私は楠木との間にどのようなものがあったかは知らぬ」
「楠木殿とは昨年の赤坂城でともに闘われております」
「それにしてもだ」
「左様でございますな
たった一度戦を共にしたからと、凡人になにかわかるはずもありますまいが…」
そんな大人達の会話など全く興味がないようで、六の宮は嬉しそうに熱い湯を飲んでいる
「どうやら顕家殿は、京を発たれるときからすでに逆のことを考えておられたようです」
「逆?」
「多賀国府からの軍勢、西上でございます
軍行の速さ
兵の状態
移動に必要なもの…
この旅で全てそれらを測りご自分のものとされています」
楠木正成は武士としてよくできた武士で、大胆な戦術をとりながらも命令には逆らわない
自らの分を心得ている
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