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「今夜やいてくれ
明日、北の館へゆく」
正通は兎が好物だ
次郎三郎も好きで熊も猪も食うが太郎は魚を好んだ
太郎は館に20名いるだけの郎党一人を呼び、夕餉に兎を焼くよう命じながら思いかえした
多賀城より北にある北の館に向かうことは聞いていない
途中まで陸奥守の軍を追う形になるから正通も自ら見るつもりなのかもしれない
ただ正通はそんな気配さえみせていない
そんな叔父が太郎は、やはり不思議でならなかった。
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