41人が本棚に入れています
本棚に追加
すると突如後ろから女性の甲高い悲鳴が上がった。それに弾き出される様に妹子は走りだした。
今にも何かが皮膚を突き破りそうで、止まったらそこで全てが終わってしまいそうで、ひたすら走り続けた。
風が揺らす。空っぽの胸を叩く。引き絞られるように痛む喉からはあらん限りの音で何かを叫んでいた。
僕は逃げた。太子から、その死から、全てから逃げたかった。
慣れるわけがない。
あんたの死はこれからも、何度でも、この心臓を叩き潰して僕を殺す。
神様、もう一度チャンスを。いや、嘘だ。いやだ。もう嫌だ。これ以上耐えられない。僕は既に狂っているのか?助けて太子。太子。でも助けたい。太子。助けて。
「どうしてアンタは僕を助けに来てくれないんだ!」
臆病風よ 背中を押して この世界から どうか 僕を 逃がして…
最初のコメントを投稿しよう!