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 拓巳は職業柄、目を通して数秒もかからないうちにこのノートが何なのか把握した。しかし、不思議そうに眉を細めた。自分で書いたものでもないし、自分達のでもない……けど自分の部屋にある。何故だろう……。  見知らぬノートが自分の部屋にあることに少し不気味な感じもしたが、つい昨夜一緒に飲んでいた友達に預かった様な気もする。  飲み過ぎて記憶が曖昧になっていた。  拓巳は昨日一緒に飲んでいた平岡和宏に電話をかけた。 「はい、もしもし……」  電話の奥から不機嫌そうな和宏の寝起きな声が聞こえた。 「もしもし、おはよう。ごめん、寝てた?」 「ん、拓ちゃん?どうしたの、こんな朝早くに」 「昨日なんだけどさ、俺になんかノートとか渡したっけ?」 「え、ノート……?あ、うん、渡した」と、まだ頭がしっかり起きてないような声で和宏が言った。 「何で渡したんだっけ?」 「ん?覚えてないの?あれはバイト先の喫茶店の忘れ物で、マスターが見つけてくれたんだよ。それで拓ちゃんよくうちの喫茶店来てたじゃん。それにノートの中身が中身だったから拓ちゃんらのじゃねぇかなって思って昨日渡したんだよ」  拓巳は記憶を辿りなんとなく思い出した。
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