2/3
前へ
/14ページ
次へ
静かなはずの病院で、いつもどおりの足音が響く、午前10時3分。 「ユノひょん!いい加減静かにできないんですか?!」 何度も聞き慣れた声で今日もまた怒鳴られた。 俺は速度を少し落として振り返りながら挨拶をする。 「おっはよ!チャミ!3分も遅刻しちゃってんの!!見逃してよ!」 そう言ってまた走り出した後ろから盛大なため息が聞こえたけど、気にしない。返事なんかもともと待つ気なんてない俺は、目的地までまっしぐら。 早く、速くと俺の心臓が呼び掛ける。 早く、あの子に、会いたい。 会わせて。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加